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岐阜地方裁判所 平成3年(わ)485号 判決

本店の所在地

岐阜市九重町一丁目一三番地

法人の名称

堀株式会社

(右代表者代表取締役 堀敏夫)

本籍

同市鶴田町三丁目一番地の一

住居

同市九重町一丁目一二番地の三

会社役員

堀敏夫

昭和一〇年一二月一二日生

右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官奥村由美子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

一  被告人堀株式会社を罰金三〇〇〇万円に、被告人堀敏夫を懲役一年六月に各処する。

一  被告人堀敏夫に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人堀株式会社(以下「被告人会社」という。)は、岐阜市九重町一丁目一三番地に本店を置き、各種先物取引等を業とするもの、被告人堀敏夫は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人堀敏夫は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、先物取引益金の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億四三七三万一三三一円で、これに対する法人税額が五六一五万三五〇〇円であったにもかかわらず、同六三年五月三〇日、岐阜市千石町一丁目四番地所在の所轄岐阜北税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六三四八万二六六三円で、これに対する法人税額が二二四四万九〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告額との差額三三七〇万四五〇〇円を免れ

第二  同六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三億九九三三万二四四七円で、これに対する法人税額が一億六五〇四万二九〇〇円であったにもかかわらず、平成元年五月三〇日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億七五六一万五二八一円で、これに対する法人税額が七一〇八万一八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告額との差額九三九六万一一〇〇円を免れ

第三  平成元年四月一日から同二年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が五八六五万三七八九円で、これに対する法人税額が一五七三万九七〇〇円であったにもかかわらず、同二年五月三一日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三一六〇万四三〇三円で、これに対する法人税額が四九二万〇一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告額との差額一〇八一万九六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人会社代表者及び被告人堀敏夫の当公判廷における供述

一  被告人会社代表者及び被告人堀敏夫の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する各質問のてん末書

一  菊田市松、阪村敏生の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料、査察官調書六通

判示第一、第二の事実について

一  丸山宏次の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  丸山宏次作成の上申書二通

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第二八九号)、脱税額計算書(記録証第三一〇号)

一  金井英雄作成の上申書

判示第二の事実について

一  堀敏哉(二通)、池田大二郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第二九〇号)、脱税額計算書(記録証第三一一号)

一  河村達夫作成の上申書

判示第三の事実について

一  堀越邦彦の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第二九一号)、脱税額計算書(記録証第三一二号)

一  岩月英也作成の上申書

(法令の適用)

一  判示各所為 法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項、なお情状により同法一五九条二項も適用)

一  刑種の選択 懲役刑選択(被告人堀につき)

一  併合罪の処理 刑法四五条前段

同法四七条本文、一〇条(被告人堀につき、情状の重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

同法四八条二項(被告人会社につき)

一  刑の執行猶予 刑法二五条一項(被告人堀につき)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本久)

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